今こそ、令和の金融円滑化法を。

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内閣総理大臣安倍晋三殿。
漸くコロナ禍の終息も見えてきて、社会の関心は経済の維持に移ってきているように思います。しかしまだ、政策的な営業自粛を解いたとしても、市井の人々の感染への警戒感から、巷の店々の売上、経営状況が改善するとは思えません。ここから数ヶ月かけて、企業の倒産や閉店が相次ぐことでしょう。特に何十年、何百年と続けてきたような老舗の閉店は、日本の社会や文化にとっても、取り戻すことのできない大きな損失になります。
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ある程度のスパンで「アフターコロナスタイル」に移行していくこと自体は、健全でありますし、企業側も対応できる、していかなければならない部分がありますが、あまりにも急激な変化は各所で破綻を引き起こします。言うまでもなく倒産や破綻はキャッシュフローのショートによって引き起こされるわけですが、営業収入というキャッシュインが途絶えた状況で、ただただ店舗のキャッシュが流出しているのが大きく「家賃」と「返済」であります。
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「家賃」については「賃料減免・猶予なら税や社会保険料1年間猶予」という動きもあるようですが、これしきの餌では「利回り」だけが判断基準という世間の不動産オーナーたちが積極的に活用したくなるほどの魅力があるとは到底思えません。もちろん中には善意から動くオーナーもいれば、こんな人間もいるわけで、「家賃支払いが今まさに商店主たちに閉店の決断を迫っているのだ」という危機意識を持って、政府の関与を期待したいところであります。
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もちろん、資金借入によって事業として不動産を取得しているオーナーは、「店子に猶予を与えたくても、こちらにも返済が」と言うことでしょう。つまり大元は「借入金の返済」なのです。これだけ社会のお金の流れが滞っている状況で、「返済」というフローだけが順調に流れている。政府や自治体が社会の隅々までキャッシュを供給するのに必死な一方で、実は莫大なキャッシュが金融機関、引いては日銀に吸い上げられている。バカらしいとは思いませんか。
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金額的には焼け石に水とも揶揄する声もありますが、関係各所が100万、200万程度の持続化給付金を、毎日猛烈な忙しさの中で支給に向けて作業している一方で、それらのおカネはなにも食うために使われるでもない、閉めたままの店舗の家賃や、借入金の返済のために支出され、引いては国庫に還流してしまっているのです。
大怪我をして傷から血がどくどくと流れ出ている人に対して、傷の手当もしないままじゃぶじゃぶと輸血する。バカバカしいとは思いませんか。
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「金融庁、中小企業金融円滑化法の枠組みを事実上復活へ」という話もありますが、政府のPRは全く不足しているし、緊急貸出などの対応に追われる金融機関も、十分動けていないのだと思います。今、企業が閉店や廃業の決断をするかどうかという瀬戸際において、勝手に不払い、踏み倒したり、それこそ倒産して不良債権化するよりも、制度として一旦、返済のフローを止めて、市中にキャッシュを滞留させる方が良い。
また金融円滑化法は、亀井氏現役時代の実力もさることながら、僅か一ヶ月で成立した時限立法であったことも、今回、スピード感を持って活用できる可能性が高い政策になると確信します。今はなによりもまず企業側の出血(キャッシュアウト)を止め、老舗の灯を消させないことこそ最重要な課題であるはずです。モラルハザードの懸念や新生活スタイルの考案や導入はその後でいい。なによりもここ数ヶ月の資金(=キャッシュ)が運命の分かれ道になっているのだと思うのです。
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さらに、「返済の猶予」はなによりも政策として政府の財政を毀損しない点も、財務省や抵抗するであろう勢力の理解が得られやすいのではないでしょうか。給付金などを小出しにするよりシンプルです。
2月時点で中国からの入国を差し止められなかったことに始まり、「マスク2枚」や「給付の進まぬ給付金」など、これまであなたの政権のやってきたことは効果がなかったというよりも、ほとんどなにもしてこなかったに等しい、と私は感じています。
欧米のような悲劇的な蔓延が起こらなかったのも、たまたま我々日本人にうがい、手洗い、マスクという戦前からの習慣があり、同調圧力が高めの社会で自粛がうまく行ったからであり、幸運だったとしか言いようがありません。しかしここから先、明らかに停滞するだろう経済を、崩壊にまで至らずに食い止められるかどうかが政権の通信簿を決める残されたチャンスだと思います。
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日本史上最長の政権として、最後の最後に、豪腕と言われようがモラルハザードを引き起こすと言われようが、国民皆が驚嘆するような実のあるしっかりとした政策を夏までに打ち、見事な花道を飾っていただきたい。このままでは宿願の憲法改正も覚束ないことは自明です。
ちなみに弊社は創業まもなくという頃に、平成の金融円滑化法でなんとか生き延びることができ、今のところではありますが、今回の持続化給付金は申請せずに済みそうな一零細企業であります。「倒産予備軍みたいな企業を延命するだけ」という批判は、この身を持って「それだけではない」と断言いたします。
以上、ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
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