ヤフーが楽天に突きつけた、断骨戦略。

ヤフーショッピング|ヤフオク無料化

今週、身の回りで駆け巡った衝撃的なニュースといえば、なんと言っても孫さんが仕掛けた「ヤフーショッピング/ヤフオク無料化」の発表です。EC界隈にはまさしく激震と言っていいほどの衝撃が走ったと言えましょう。
楽天やヤフーのような大手ショッピングモールには出店していないとは言え、我がビザインショップも他人事ではありません。これから日本のネットショッピングの地図、消費者の流れは大きく変わる。
東京でいえば、新宿で百貨店戦争してたと思ったら、突如として一大ファッションセンターに変貌を遂げた丸の内に、いつの間にかお客さんをごっそりと持っていかれてた、というようなことになりかねません。経営的、営業的に、ここでの見極めが、今後、非常に大きな意味を持つことは間違いない。

振り返ってみれば、これまで楽天から何度セールスの電話が来ても、頑なにスルーしてきたのは忘れもしない、まだビザインショップをオープンしたばかりの頃、当然のことながら勉強の意味もあって楽天、ヤフー辺りにも資料請求したりしたわけですが、その頃お付き合いのあった取引先の社長さんが「楽天は月販100万くらいでちょうど㌧㌧(くらいコストもかかる)という感じだよ。」とおっしゃっていたので、ちょうどセールスの電話をかけてきた、声の感じではそう、入社したての24-5歳、という感じの楽天の若手営業クンにそう言ってみると、「そうっすよね~w やっぱ100万くらいやらないとショップやる意味ないっすからね~www」と、誇張ではなくそういう感じで宣うたのです。
こちとらまだ開店したばかり。注文だって1日1件あるかないかという頃。「こんのクソガキャ~~~」と口にはしませんでしたが、この時誓いました。楽天には生涯出店しないと。(笑)

「なぜ楽天で買うか」を消費者の立場で考えた時、まあ「品揃えが豊富」で「ポイントが貯まる(使える)」くらいしか思いつきませんが、EC業界に身を置く知人によれば、今はもう「アパレルやるなら楽天しか(選択肢が)ない」というくらい圧倒的だそうで、そこまでの状況になっている商品カテゴリーなら買う側もやはり、「洋服買うなら楽天しかない」ということになっているのかもしれません。楽天で洋服買わないので分かりませんが。ZOZOとか出せるメジャーブランドは違うのかな。分かりませんが。
となれば、楽天を追撃するヤフーとしては、より「品揃え」を豊富に、より「ポイントを貯まる(使える)」ようにすれば良いわけで、Tポイント連携と今回の無料化は極めて合理的な戦略です。もちろん「自由な出店環境」は全体が低質化、カオス化するリスクもあるわけで、一定の質の担保はマストとなるでしょうが、カオスな店作りが当たったドンキホーテの例もあります。玉石混交から「掘り出す」楽しみが見つかる、なんて副次的な効果もあるかもしれません。

ヤフーが広告モデルに回帰して、ECコンテンツすら1つのコンテンツに過ぎないのだと明確に位置づけてしまった以上、EC事業に軸足を置いたままの楽天は、それ以上の新たな軸を見い出せなければ、一方的に侵食されていくことになるでしょう。血で血で洗うような「斬り合い」を演じてきた業界に、ヤフーが突如、「肉を斬らせて骨を断つ」戦略を持ち込んでしまった。骨を断たれれば致命傷になります。
そして、間違いなく孫さんの描く「断骨戦略」とは、無限の資金力と圧倒的なメディアパワーでショッピングモールの出店者たちを奪うに留まりません。客も奪う。子飼いの井上元社長を更迭したのも、FacebookやGoogleに奪われたインターネットの主戦場に、本気でもう一度返り咲くつもりに違いない。賢人がどこまで見通しているかは、凡人には分かりえませんが、そんな遠大な目標のためなら、「出店手数料無料」なんて痛くも痒くもないはずです。盛り上がりさえすればいい。

ビジネスは「戦う」という共通点から、これまでもランチェスターや孫子など、数々の戦略論が応用されてきました。「逃げるが勝ち」とか「損して得取れ」というように、事業には最終的な目標と、それを実現するための手段とがあります。とある戦闘で敗れても、戦争全体で勝てばいい。戦争で負けても、外交で有利に立ち回ればいい。敗戦で文字通りガレキの山となった日本とドイツが、戦後、巨額の軍事的負担を免れたことで、世界経済をリードしてきたなんていう歴史の皮肉も、競争には終わりがないということ、最終的な勝利とはなにかを考えさせてくれる好例です。
商売もそれと全く同じで、Aという商品が赤字でも、Bという商品で儲けたり、大きな注文を取るために、あえて今回は泣いておく、なんてことはごくごくありふれた光景だと思いますが、今回ヤフーは、モールの手数料収入を捨てて、ポータルサイトとしてのトラフィックを取りに行った。対する楽天にはモールの代わりとなるような事業ドメインは見当たりません。

この構図は楽天に限ったことではなくて、カラーミーショップやサイトサーブなど、中小のショッピングカートASPにも同じ条件を突きつけます。無料でお店が作れます。販売手数料もいりません。お客さんもバンバン呼んできます。だからうちに出店してくださいとヤフーが言っている。これに対抗する手段があるか。これは相当に難しい経営課題になると思います。
孫さんはソフトバンクの30年ビジョンを発表した際に、「理念>ビジョン>戦略>戦術>計画」というヒエラルキーで経営目標を説明しました。その最上位の概念として位置づけた「経営理念」で、孫さんは「情報革命で人々を幸せにしたい」に尽きる、と言っています。商品データの一括ダウンロード機能ごときで月1万円も要求する楽天に、月販100万以下の零細商店なんて意味ないよねとか若手社員に言わせちゃう楽天(ここ大切なので日本語で言います)に、果たして勝算はあるのでしょうか。

理念やビジョンが大切だとは分かっていながらも、雑務に追われて、日銭を稼ぐに精一杯な日々ですが、分かっててやれてないのは分かってないのと同じ、とは正しくこのことです。やはり漠然とした「思い」を言葉にしたり、大目標>中目標>小目標ときっちりとブレイクダウンしてみたり、そろそろしないといけないなと実感しました。
ということで、孫さんが30年ならこっちは300年だ。10倍返しだ!(これまだ使えますか。)ビザインはここに「300年ビジョン」の策定に着手することを、高らかに宣言いたします。

おしまい。

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