Daily Archives: 2020年5月20日

リモワ(リモートワーク)について

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ビザインでは創業時、私が一人で始めた当初から今に至るまで、基本的にリモートワーク(以下、「リモワ」とス。)でやってきました。現在も商品撮影や商談などあればショウルームでやりますが、基本的に「必要がなければ来なくていい」というスタイルです。
今、コロナ禍に際してリモワを始めた事業者さんも多いと思いますが、曲がりなりにも10年ちょっとリモワをやってきた者として、参考になるかどうかは分かりませんが、思うところを書き連ねてみます。

【新メンバーの合流が至難】
まずなによりも書いておきたいことは、新人さんの扱いについてです。最近リモワを始めた会社なら、「ああ、リモワも意外とイケるじゃん」と感じているかもしれません。なぜなら今まで何年も同じ釜の飯を食ってきた仲間と、お互い自宅でやりとりしているだけだからです。ところがここに得体の知れない新規メンバーを合流させようとなると、これが至難の業になります。
信頼関係がない、人間性が分からないなどという基本的な問題のさらに以前に、業務の引き継ぎやOJTが非常に困難です。例えば前職で「楽天に出店しているEC企業で受注処理していました」という人に、うちの楽天店の受注処理をしてもらうような、社外共通スキルを持っているようなケースであれば引き継ぎの情報量もそれほど多くはないでしょうから、それほど敷居は高くないかもしれません。しかしそんなドンピシャな人はそうそういるものではありませんからSKYPEやZOOMで細かな実務、システム、社内慣行、運営方針などを1つずつ教えていくのは、不可能ではないですが、本当に時間と手間がかかります。なので弊社では入社して始めの1か月くらいは私の隣に座ってもらって、やって見せて、OJTしてリモワをテイクオフさせてきました。これはこれから難しくなるかもしれませんね。

【リモワこそコミュニケーションの質と量が重要】
リモワにおいて、通常のコミュニケーションはLINEやメールなどのテキストで行われることが多くなると思いますが、同じ室内にいれば伝わる顔色や雰囲気などが全くないため、伝達できる情報量がものすごく細ります。会社を辞める一番の理由は「人間関係」だったりしますが、効率的な業務を行うため、余計な摩擦を起こさないためには円滑な人間関係が非常に非常に重要です。なので、ちょっとややこしい内容かなと思ったら、すぐに気軽に電話なりLINEなどの音声通話をかけられる人間関係は必須です。
コミュ障な人ほど、「リモワは人に会わないで済むから気が楽だろう」と思うかもしれませんが、「仕事を進める」、「メンバーとうまくやる」、「会社を辞めない、辞めさせない」ためにはリモワこそコミュニケーションの質と量が重要になります。言い方を変えれば、「コミュ障には務まらないのがリモワ」とも言えます。そのために、弊社では事あるごとに飲みの席を設けるなど、なるべく会う機会を作ってきました。これも今後は難しくなってくるでしょうね。

【100%アウトプットの質と量で判断するしかない】
リモワでは、基本的に出勤体制において「サボり」とされる行為が簡単に出来てしまいます。昼寝する、漫画読む、テレビ見る、ETC.。Facebookのタイムラインにもパソコンの隣りでテレビを付けていたり、外出したり、初めての自宅勤務を堪能してるなwという時折投稿を見かけますが、まあそうなるだろうなとは思います。もちろんオフィスにいるとの全く同じ態度で仕事に臨める人も1割2割はいるかもしれませんが、私を含めて自分を律することのできる人間などそういるものではありません。なので、リモワはそういう勤務態度も取り得ることを前提に業務を設計しなければなりません。
弊社は私以外は全員が「子持ち主婦」なので、「急に子供が帰ってきて、お母さん腹減ったー!」とか「急に雨が降ってきたから洗濯物を取り込まなきゃ」とか、「そういうのはしていいからね」ということにしています。ただ、タイムカードが15分刻みなので、15分を超えるような私用ならタイムカードは一旦切ること、としてますが、本当はそれすらしてるかどうか、こちらには分かりようもありません。がんばっていようと、サボっていようと、物理的に分かりようがないのです。分からないことを「信じる」のは合理的な態度とは言えませんから、なにで判断するかというと、その人のアウトプットで測るよりほかないわけです。

「今日はこれとこれやろうね」、「今週中にこれお願いね」というような、こちらの期待する個人個人のタスクがどれくらいの品質でどれくらいこなせているか。やれていれば「やってるな」となりますし、やれてなければ「やれてないな」とするしかありません。「やれてない」のは能力がないか、サボっているかのどちらかになるわけですが、「能力がない」中には「適正がない」というケースもあるでしょうから、違う業務をやらせてみて、どれをやらせてもダメなら「本当に能力がない」か「サボっている」と判断するしか、ありませんよね。
これはお国の政策とも関連しますが、安倍政権の目指す「解雇しやすい制度」はリモワの普及とセットになると思います。リモワの場合、サボる人材のアウトプットの最低値は出勤スタイルのそれよりも、圧倒的に下がります。そのためサボりがちで且つ能無しというような、どうしようもないタイプの人間をいつまでも抱えていると、会社にとって致命傷になりかねません。ダメならクビ、ダメなら減給、やれてれば昇給。給与体系や雇用の安定性もとても柔軟なものになっていくでしょう。
考えてみれば、リモワは外回りで直行直帰の営業スタイルと似ています。営業は「数字が全て」のようにアウトプットで評価がされますよね。内勤だった業務もそれと同じになるというだけのことなのかもしれません。

【コミュニケーションへのレスポンス(の速さ)】
同じ室内にいれば「ちょっとトイレに行ってきます」と言わなくとも周りの人には分かりますし、「ちょっと郵便局に行ってきます」ならおそらく誰かに言って出てきますよね。リモワはこれがないので、LINEやメールなどのレスポンスが悪い、電話になかなか出ない、ようなのが続くと、これまた「サボってんじゃないか」という疑念を生みます。なので「呼んだらすぐ返事」というルールは必須です。電話や別の仕事で取り込んでいるなら「5分待って」でもいいので、とりあえず返事はする。返事がなければ解雇。サボってる以外に「5分待って」が打てない理由はなかなか思いつきませんから。これは大前提としてルール化して良いと思います。

【素性の全く知れない人とのリモワは難しい(不可能)】
結論になりますが、弊社はこれまで全て縁故で採用しています。仕事ができるできない、サボるサボらないの前に、個人情報や社外秘の情報を含むパソコン1台まるごと預けるわけですから、前提条件としてある程度、誰かが保証できるレベルの人物しか怖くて雇えないという現実が1つ。
最初からサボるかどうかを疑わなければならないのは本来不要な手間(コスト)がかかりますから、「ああ、この子なら例え見られてなくてもしっかりやってくれるに違いない」と信頼できるところからスタートできる人物しか声をかけない、というのが1つ。
疑念や不満が生じた時、それを溜め込んでしまうとお互いに解雇か退職かというところまで行ってしまいますので、その手前の段階で、いつでもざっくばらんにそれを伝え合える人間関係が(私と)あるかどうか。

ネットで見聞きするところによると、カメラを回しっぱなしでお互いに顔が見れる(監視できる)ようなリモワをやっている会社もあるようですが、どうなんでしょうね。女性は特にスッピンや自宅を見られたくないという気持ちも強いと思いますが、同じ空間で働いているかのような疑似環境を作って、実際には自宅だよ、というのも1つの解ではあるのかもしれません。
とりあえず今の段階ではカメラは切ってやってもらってますが、逆に言うと、カメラを回しっぱなしにしてずっと顔が見えていて、トイレも行かず、お菓子も食べすにがんばっているように見えても、アウトプットが低ければダメなわけですし、監視されていてもお構いなしにダラダラしていたとしても、アウトプットを期待値以上に出しているのであれば、それで良いわけです。要するにアウトプットですね。そういう意味で、リモワ時代は評価される側も、努力や潜在的な能力が評価されない、されにくい非常に非情なものになると思いますし、評価する側もアウトプットの期待値を正確に設定できるだけの業務に精通している必要が高まりますから、窓を背にして座ってるだけの上司の席はなくなっていくのでしょう。

アフターコロナの人間関係、信頼関係、果たして人類はうまくやっていけるのでしょうか。
モニター越しのオンライン飲み会?あれで新規の人間関係築けるようになっていくのでしょうか。
少なくともリモワに向いているタイプと向いてないタイプがいて、向いていないタイプが人生に迷うというようなシーンは出てきそうです。


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