先日、とある要件で、
生まれて初めて「入院」というものをしたんです。
あの「病室」という空間は、
これまでも「お見舞い」という立場では、
もちろん何度も行ったことがあるわけですが、
いざ自分がベッドに横たわって見える景色は、
それまで自分が知ってるつもりだったそれとはまた、
ひと味もふた味も違ったものでした。
今回はあらかじめ二泊くらいということがほぼ見えていて、
手術自体もまあ大したことはないだろう、
ということが分かっていたわけですが、
それでも初日の夜から外出許可を取って自宅でメシを食い、
シャワーを浴び、
門限ギリギリまでタバコを吸ってから戻るような、
不良患者でして、
今でこそ手術や全身麻酔含めて、
「いい経験したな」
なんて呑気なことを言ってるわけですが、
世の中には先の見えない入院生活をされている方が、
それこそゴマンといるわけです。
「健康第一」とか「健康の大切さ」なんて言葉は、
あまりに漠然としていて、
正直なところ、あまりリアリティがありません。
子供の頃、お母さんに「健康が一番よ」なんて言われても、
「あーはいはい」ってなモンでした、よね? きっと。
でも今回、この歳にして
「健康がなぜ幸せなのか」をはっきりと実感できました。
健康って「自由」なんです。
自由に家に帰ったり、好きなところに出掛けたり、
食べたいものを食べたり、会いたい人に会える。
つまり、やりたいことがやりたいだけできる。
それをするだけの肉体的、社会的資格がある。
それが「健康」ってことなんでよすね。
入院すると、程度に応じて自由はかなり制限されます。
食事や外出はお医者さんによって管理されますし、
病院の中ですら、
自由に歩き回ることができない人もたくさんいます。
「この部屋から早く出たい!」
たぶん入院をしたことがある人は、
100%そう思うと思います。
否、99%にしておきましょう。
やっと休みが取れたモーレツ商社マンなんかは
違うかもしれませんね。
僕はベッドからぼけーっと病室を眺めていて、
「これは牢屋に似てるな」と思いました。
もちろん牢屋に比べれば自由度は高いんでしょうけれど、
それも人によりますね、
寝たきりで寝返り1つ打てない人もいるわけです。
そもそも「出たいのに出れない」っていう部分だけでも
既に牢屋と同じようなものです。
なにせ退院して出てきて、一本目のタバコを吸った時、
「やっぱりシャバの空気はうめぇなぁ」って、
自然と口に出ましたからね(笑)
「健康」は「自由」。
もちろん痛みや吐き気、
物理的な苦しみからの自由もあるでしょう。
自由でとってもありがたい毎日です。
これが1つ目。
もう1つが「自分がいなくなっても回る仕組み」。
僕の場合は専ら仕事についてですが、
一家の大黒柱のお父さんや、家を守るお母さんも、
きっと同じことが言えると思います。
自分が急にいなくなっても、
この子たちがちゃんと暮らしていけるように、みたいな。
お金のことだけじゃないですよ。
女の子だったら一緒に料理して教えておくとか、
男の子だったら一緒に釣りにでも行っておくとか、
正直、人間なんていつなにがあるか分かりません。
上で書いたように、今回は「だいたい二泊くらい」
というのが分かってましたし、
今は僕の代わりに毎日注文を捌いてくれる仲間や、
商品を毎日出荷してくれる倉庫さんがいます。
でも僕にしかできない仕事も当然ながらあるわけで、
「これ半年入院となかったら終わるよな(笑)」
とか悪ぶっていたのですが、
入院の内容によっては
本当に閉店ガラガラするハメになるかもしれません。
半年とは言わないまでも、1ヶ月でも結構まずい。
手術も今回は簡単なものだとは分かってましたが、
万が一ということもある。
全身麻酔も何万分の1かで事故があるとか聞くと、
直前は、もうめちゃくちゃ不安になります。
なので一応、万が一という事態に備えて、
その月の末の支払いや、ここに通帳入ってるよとか、
最低限やらなければならないことだけ打ち合わせしました。
入金の方は、まあ自分が死んだらどうでもいいんですが、
やっぱり支払いの方ですね。
仕入れの代金や、借入金、給料、家賃、etc.
これ、ピンでやってる自営の人や、
あと友人にもいますが歯医者さん、
美容師さんなんかも同じだと思うんですが、
早く「自分がいなくても回る体制」を作りたい、
作っておかなければならない。
そう思いました。
もちろん、保険に入ったり、
健康診断に行ったりすることも大切なんでしょうけれど、
人間ドックでは出てこないガンや、
保険の出ない手術なんかもいくらでもあるわけで、
備えあっても憂いなんか尽きません。
その昔、インターネット黎明期に「遺言ドットコム」
みたいなサイトを作ろうと思ったことがありますが(笑)
いやガワだけは作ったのですが(笑)
遺言ってなにも財産分与について
公正証書を残すことだけではないはずです。
通帳と印鑑はここねとか、未払い分の請求書はここねとか、
あそこの棚におやつ入ってるからねとか。
社長さんやお父さん、お母さん、
自分が急にいなくなった時に誰かが困る立場にいる人は、
メモくらいでも家族や従業員に残しておくべきでしょう。
発つ鳥後を濁さず、です。
でもねー、喉元過ぎればなんとやら。
退院から早数ヶ月が経ち、
日々の忙しさにかまけて、
そういうメモもまだちゃんと書けてないばかりか、
健康のありがたみさえも、だいぶ薄れてきてしまいました。
ここが凡人の浅はかさよ。
いかんいかん、時にあの時の気持ちに立ち戻って、
自分を戒めねば、、、ということで一筆啓上した次第。
みなさん、ご準備されてますでしょうか。
以上、よろしくお願いいたします。