先日、あるお客さんから、「最近A社のDさんと連絡取れないんだけど、なんか聞いてる?」と言われたので、電話をしてみるもつながらない。もしやと思ってググってみると、やっぱりというか倒産情報が出てました。
このA社さんとは、直接売買関係にあったわけではないので、引っかかりその他の痛むところは全くなかったのですが、以前、ZACKを取り扱っていただいた関係で、何度も会社にお邪魔したし、やりとりもさせていただいていた間柄です。
やはり社長さんをはじめ、担当者それぞれのお顔が浮かんでくると、心が痛むのと同時に、同業者としては身が引き締まる思いがします。こういうとこに書いてある倒産理由なんて半ば定型文みたいなものなので、本当のところは詳しく分かりません。
分かりませんが、A社さんはZACKのようなインテリア雑貨に留まらず、自社名義の輸入家電なんかも手がけてらっしゃって、取引先も大手が多く、ビザインに比べれば、よほど「手広く」やってらした印象があります。
このA社の社長さんは、その昔、デロンギやミーレといった欧州家電を日本に持ち込んだという伝説をお持ちの、その筋ではとても高名な方だったそうで、輸入雑貨を売るための「ノウハウ」や「ルート」は十分にお持ちだったものと思います。
しかしながら、このニュースは僕自身にとってみれば、当たり前のことではあるのですが、売上や会社の規模と経営の安全性とは全くもってイコールではないということをリアルに再認識する、良い契機となりました。いや、そうしたい。
中小零細企業に限らず、どんな大手の企業でも売上は欲しいはずです。売上は全ての経営資源の源泉であることには違いなく、できることなら大きな売上が欲しい。そのためには強力な販売網が必要です。
しかしながら強力な販売力を持つ顧客というものは、その購買力もまた強力であるのが世の常で、取引条件は非常に厳しいものであることが多い。売上か、利益か。チャレンジするか、手堅く行くか。経営判断の分かれるところです。
厳しい取引条件には、一般的には、支払いサイトが非常に長かったり、利益率がとても低かったり、業界によっては、委託取引の形態で返品のリスクが大きかったり、制作費や協賛金などの名目で別途、利益提供が必要だったり、様々なものがありますが、これらを全部呑んだとしたら、しかもその期待できる売上が大きければ大きいほど、おそらく経営的には大変なリスクを背負うことになるでしょう。
経営に責任を負わない一セールスマンであれば、どこまでも売上”だけ”を追いかければ済むのかもしれませんが、会社としてはそうはいきません。かと言って、全く挑戦しないのでは現状維持どころがジリ貧になって行くのが関の山。どうするか。
中小零細企業においては、リクスマネジメントなんて知ってはいても、命綱である「売上」を捨てることは非常に困難です。外したらやばいなんてことは百も承知で突っ込まざるを得ないシーンなど、常の如しと言っていい。時にはアホのように楽観してチャレンジしなければならない時もあるでしょう。しかし。
やはり著しく不利な条件での取引は進めるべきではない、という思いに至りました。不利な条件を受け入れざるを得ないということは、之即ちプロダクトに競争力がないということ。経営は競争力あるプロダクトの開発、競争力を発揮できる環境の整備こそ目指すべきであり、それが事業拡大への正攻法であると、今回確信したのでした。
今までは「とは言うものの、、、やっぱ無理してでも取りに行かないといけない時もあるよねーw」という風な、「分かっちゃいるけど止められないのは分かってない証拠」と言わんばかりに、営業というものを甘く(?)考えてもいたわけですが、中小零細の場合には、それが致命傷となって、本当に逝ってしまうんだというのを今回すぐ隣りで体験したことで、かなり切実に身につまされましたというお話。
残存者ナントカではありませんが、これまでA社経由でZACKをやっていただいていた先様からの問い合わせも来ています。降って沸いたようなお話に、「今でしょ!」という気がしないでもありませんが、浮つくことなく堅実に、且つ、萎縮することなく果敢に、アベノミクスのビッグウェーブに挑みたいと思うわけであります。